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中小企業の現場では、「その仕事、なるはやで(なるべく早く)!」、「空気読んで、いい感じで対応しておいて!」なんて指示・命令の言葉がよく飛び交ってるのではないでしょうか?

少なくとも私は、これまでの支援の現場で、これに近い現実を目の当たりにしてきました。

指示を出して従業員・部下を機能させるには、次の5つのことを明確にすることが必要と私は思います。

①相手を定める
②裁量・役割を明確にする
③予算を決める(いくらで)
④期限を決める(いつまで)
⑤達成すべき目標数値を決める(どうなる)



企業内では頻繁にさまざまな指示を行うことになりますので、特に上記の①~②の事項をなるべく簡単・明快に整理・共有しておくことが有効で、そのためには、それぞれの役割を明確にしておくことが大切だと思います。

役割を明確にしていくにあたって、具体的には次の4つのことを確認・定義していかなければなりません。

①誰がどんな能力・スキルを持っているか?
②組織全体としてどんな役割の種類があるのか?(あるべきか?)
③それぞれの役割についた人には、どのような姿勢や行動が求められるのか?
④誰がどんな役割につくことがふさわしいか?


一見すると当たり前すぎると感じるかもしれませんが、企業規模を問わず、企業の現場では驚くほどにこれが整理・共有できていません。

一つ一つ順番に確認していくと、驚くことに次のようなことも明確でないことが多々あります。
「管理職と一般職の役割の違いが明確でない(便宜上、管理職としているが一般職と並列関係など)」
「役員と従業員の役割の違いが明確でない(役員と執行役員の区別もできていないなど)」


経営者がこれらのことを把握できていなかったら組織内で共有できるはずがありません。
何となく理解しているという状態ではなく、経営者が明確に理解して従業員に説明、共有できるレベルまで達していないと機能しないのは明らかです。

経営者自身がこのように理解できていない状態なら、管理職も含め、従業員においてはなおさら「自分がそもそもどの役割を担っているのかさえ自覚できない」、または「自分勝手に役割を勘違いして行動する」という事態になってしまいます。

そのような事態になれば、次のように時間もかかり、ストレスも増大します。

・無駄に悩む時間
・無駄に悩むストレス
・勝手な行動による全体バランスの修正に必要な時間
・組織内の不協和音(ストレスの集大成)


経営者の評価では、「まだまだ成長できていない」と評価している従業員でも、役割・基準が明確でないがために、従業員自身は「自分を過大評価している」ケースも良く見受けられます。

「全体的な役割がどうなっているのか」「どのようにがんばればステップアップしていくのか」がブラックボックスになっていると、従業員の立場からすると頑張りようがありません。

「若年者をせっかく採用しても、すぐ辞める」というお話もよく聞きますが、まさしく「役割、キャリアパスを明確にできていない」ということが一番の原因ではないでしょうか?

そんな状況で次のような言葉を口にして、若年者にとってモチベーションがさらに保ちづらい環境を強いていないでしょうか?
「目の前の仕事をとりあえずがんばっていったら、いつかはわかる」
「俺たち(中高齢者)の時代もがむしゃらにがんばってきた」


人事もマーケティングの視点を取り入れると、「お客さんは何を求めているのか?どうすれば売上・利益があがるのか?」=「労働者がどうすれば心地よく働き、現場で機能するか?」ということに置き換えられるのではないでしょうか?

人を機能させることが、「人事」の役目です。

これが果たせなければ、上記のような時間の無駄、ストレスの増大が広がるだけでなく、ひいては、どのように人材育成していけばよいのか、どうアプローチしていけばよいのかも示せないということになります。

「時間もお金もかかることが理由」で中小企業は人材育成・教育が難しいということを言われる経営者が多いように思います。
しかしながら、実はそうではないと私は思います。

私が考える中小企業で人材育成が進まない本当の理由は、次のとおりです。

「どんな技術や知識がどのステージの役割に必要ということを明確にできていない」

さらに、人材育成を進めるうえで重要なことがもう1つあると私は思います。

それは、「短期間ごとに、どこまで進んでおり、何がまだできていないのかを確認、フィードバックする仕組み」です。

会計の世界でも、年1回の決算だけで経営をコントロールすることはかなり乱暴であることが理解できると思います。
半年決算でもかなり難しいと思います。
少なくとも月次決算をしないと、歩んできた過去の期間に対する振り返り・修正行動がドンドン遅れていき、成果に結びつけることが厳しくなります。
実際に月次決算を5日以内に行える企業は経営が健全であることが多いと思います。

それと同じように、教育についても、人手不足で業務多忙で時間がさけない状況かもしれませんが、月1回はこのような振り返り・フィードバックの機会を設けていかなければならないはずです。

人事評価を昇給やボーナス査定のために実施するものと勘違いして使用しているケースが多々見られますが、単に〇×をつけることが目的ではなく、「個々の従業員の成長をどう支援できるか」が重要であり、個々の成長を通じてこそ、企業全体がさらに成長していくことができるのではないでしょうか?

「忙しいからできない」ということはよく言われますが、「できない」ではなく「どうしたらできるようになるか」、仲間の成長のため、自分の成長のため、自社の成長のため、考え、実行していくことが必要ではないでしょうか?

まずは、次のことを明確にしていきましょう。

①誰がどんな能力・スキルを持っているか?
②組織全体としてどんな役割の種類があるのか?(あるべきか?)
③それぞれの役割についた人には、どのような姿勢や行動が求められるのか?
④誰がどんな役割につくことがふさわしいか?



大阪ビジネスサポートセンター
代表 南  一啓
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